「それだよ。この中で
委員長を担当しているのは環しかいない。

そして、マスターキーを保管している場所は厳重な設備が施されているって聞いたから」

『マスターキーを保管しているのは
職員室のダイヤル式ロッカー。

必ず先生が開けて鍵は手渡しで渡される』

「くそっ、やっぱりダメか」


『…開けるといっても隠しながらじゃない。私たちの目の前で開けてくれる。
番号は「1865」だよ』


私がそう告げると湊は項垂れた顔を上げ、
目を大きく見開いた。

驚きながらもメモを取るのは忘れない。

私がそのロッカーの位置を伝えている間に
他の人はついて行ってもらうメンバーを
決めたらしい。


「環、メンバーに入ってくれないか?」


…選ばれるのは分かっていた。

メンバーの3人を除く私がこの中で一番
「怪我が軽い」からだ。

私はもう血が止まったが、実、紗羅、湊は
まだたらたら溢れる鮮血で
包帯の色を変えている。


痛む頭を押さえている優秀な人材と
軽症の一般人である私。

…どちらを取るかはもう明白だろう。

一般人であるけれど私は無能とまでは
いかない中途半端だ。

何より私はこの中で学校の内部を
誰よりも知っている。

心配をかけないよう『勿論』と笑うと
紗羅は苦虫を噛み潰したような顔をした。

罪悪感なんて抱かなくていいのに。


残り3分、
湊はメンバー4人の名前を入れ、送信した。