開花パークに着くと、その人の少なさにびっくりした。

 バスが空いていたから予想ついたとはいえ、祝日だし、もっと混んでるかと思った。

「昔はもっとにぎわってたのになぁ」

 ため息をつくわたしに、咲也くんが言った。

「みんな、遊園地とかテーマパークに行っちゃうのかもね」

 うーん。ここはお花でいっぱいだし、芝生でお弁当も食べられるし、なにより入園料が無料なのに。

 まあ、わたしもひさしぶりに来たんだけどね。

「でもさ、一千花センパイとゆっくり見てまわれるから、おれとしてはうれしいけど」

 ニコッとして、わたしの手をぎゅっと握りなおす咲也くん。

「行こうか」
「うん」

 クールな咲也くんがふいに見せる笑顔にドキッとしたり、握っている手のぬくもりに安心したり……。

 でも、ブルームスに出された恋愛禁止令が、心にストップをかけてしまうんだ。


     ◆


 最初のエリアは、色とりどりのチューリップが咲きほこっていた。

「とってもきれいね!」

 シンプルな一重咲きはもちろん、花びらが広がって咲いている八重咲きもある。

「わあっ! アンジェリケだ!」

 テンションの上がるわたし。

 淡いピンク色の花びらをバラのように広げているのが、チューリップ・アンジェリケ。

 咲也くんも興味津々で。

「これもチューリップなの?」
「うん、天使の羽みたいでかわいいよね」

 わたしはスマホを取りだして、パシャパシャ撮りはじめた。