「おっ、開花パーク行き、ちょうど来てるよ。急ごう!」

 止まっているバスに向かって、ふたりでかけだす。

「間にあったぁ!」

 乗りこむと、車内は空いていて、乗客はまばら。

 わたしたちは、うしろのほうの座席に並んで腰かけた。

 これを逃がしたら、あと三十分は待たなきゃいけなかったよ。

 はぁはぁと肩で息をして、呼吸をととのえていると、バスは発車した。

「あっ――」

 窓側に座ったわたしが、ふと外に目を向けると。

 女の子三人が、楽しげに大通りを歩いていて、そのなかに桃井さんがいることに気づいたんだ。

 バスはすぐに追い越しちゃったけど、桃井さん、あのあと友だちと合流したのかな?

「どうしたの?」

 咲也くんがたずねてきたから、わたしは口ごもりつつ、

「……桃井さんがいたよ」

 と答えた。

 桃井さんは咲也くんをデートに誘ったけど、みんなのまえで断られちゃって。

 気になっていたから、さっき笑顔だったのは、ちょっと安心する。

「あいつ陸上部でさ、今日は運動部ぜんぶが練習休みになったから、テンション高いんだよ。一千花センパイ、あいつになにか言われた?」

「軽~くけん制されたよ。咲也くん、助けにきてくれなかったね」

 ぷく~っと頬をふくらませるわたし。