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 二十分後、お店に戻ったとき、わたしはワンピースに身をつつんでいた。

 花柄プリントの入った、ラベンダー色の上品なワンピなの。

 ウエストのシャーリングが大人っぽくて、ドキドキするっ!

「どう? 見事な変身でしょ?」

 芽依さんがにんまりして問いかけると、咲也くんは顔を赤らめて、ぽつりとつぶやいた。

「スゲーかわいい……」

 わたしはふわりと足元が浮きあがるような心地になって、思わずうつむいた。

 裏で着がえたあと、芽依さんはノリノリになって。ヘアアレンジと、簡単なメイクもしてくれたんだ。

 普段下ろしている前髪を上げたり、両サイドのヘアをねじって、うしろでまとめたり。うすく口紅もひいてもらった。

 なんだか自分じゃないみたいで、ホントに変身した気分!

 魔法少女アイカに変身したときも、容姿が変わったけれど、魔法を使わなくたって変身できちゃうんだね。

「どうよ? あたしのスタイリング能力!」

 得意げに胸をはって、あらためて、わたしの全身を見つめる芽依さん。

「このワンピ、店の売りものを自分で買いとったのよ。一千花ちゃんに似あうと思ったらドンピシャ!」
「待った甲斐あったなぁ」

 ふたりしてほめてくれるから、くすぐったい。

 白いハンドバッグもお借りして、そこに財布やスマホを入れた。

 靴だけは自分のスニーカーのままだけれど、上品ワンピとスニーカーのMIXコーデだと思えば、そう悪くないかも。