わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

 芽依さんはとっても気さくで、話しやすい。

 ほんの数分で、すっかり打ちとけちゃった。

 店名の「semer」がフランス語で、「種をまく」って意味だと教えてもらった。

「この町にぴったりでしょ? 気に入ってるんだぁ」

 と、ほほ笑む芽依さんは、キラキラしてる。

 素敵だなぁ。

「お待たせ」

 奥から出てきた咲也くんは、すっかりオシャレ男子に変身していた。

 下は細身のグレーのパンツ。上は白のカットソーに、チャコールのジャケットを羽織(はお)っている。

 落ちついた色味でまとめたコーディネートだけど、いつも見てる学ランとのギャップが新鮮だよ。暑いせいか、ジャケットの袖をまくっているのがワイルドで、咲也くんらしいかも。

 まじまじと見ていると、咲也くんはニコッとして、

「つぎは、一千花センパイの番だよ」

 って言ったんだ。

「え……?」

 聞き返すと、芽依さんが笑った。

「変身するのよ」


 ――――変身。


 その言葉に反応して、ぎくりとした。

「制服のままデートってのも味気ないでしょ? あたしの服、貸してあげるよ。奥に何着かあるからさ。おいで。咲也、店番たのんだわよ」

 わたしの手を引いて、奥へと進む芽依さん。

 変身って、着がえのことかぁ。

 びっくりしちゃった。