新たな謎も、すぐに解けた。

 不思議そうにしているわたしを見て、芽依さんが教えてくれたんだ。

「あの子ね、今日は一千花ちゃんをデートに誘うって、決めてたらしいのね。朝早く店に来て、着がえを置いていったのよ」
「はあ……」
「ここはね、あたしが店長やってる店。オープンしてちょうど一年かな。まあ、オーナーがべつにいて、あたしは雇われ店長だけどさ。住んでるのは、咲也の家なんだ」
「咲也くんの……?」
「あの子の父親――あたしの父さんの弟だけど、二年前、神戸に転勤になったのね。それは聞いてる?」
「はい、聞いてます」

 こくっとうなずく。

「屋敷みたいにバカでかい家でさ、あの子の家族がこっちに戻るまで、管理をたのまれたってわけ。知ってる? 西地区の二丁目の――」
「ああっ! 茶色い屋根の!?」

 思いあたる屋敷があって、わたしは大きな声を出した。

「そうそう、それ」

 小学生のころ、前を何度か通りかかったことがあって、「どんなお金もちが住んでるんだろう?」って思ったっけ。

 咲也くんの家って、お金もちだったんだ!

 そういえば、戦っていたころも気品があったような……。

「――で、この四月に、開花町に帰ってきたじゃん? お(やく)()(めん)になったけど、このお店のことがあるからね。まだ居候(いそうろう)させてもらってるの」