「お花でいっぱいになれば、ここも少しは明るくなるかねぇ」

 おばさんに言われて、あらためて商店街を見わたしてみる。

 シャッター商店街なんて表現があるけれど、それに近づいているのを感じる。

 ここ数年、閉店がつづいていて、新しく入るお店もなく、シャッターがやたら目立つような……。わたしが小さかったころを思えば、さびれてしまった感は(いな)めない。

 駅ビルが改装されて立派になったのと、駅から少し歩いたところに、ショッピングモールができてしまったことと、無関係とは思えない。

 そういった、便利でオシャレな施設でお買いものするのも好きだけど、この商店街には思い出がたくさんあるし、なくなってしまうのはイヤだ。

 さびしそうな表情のおばさんに、元気を出してほしくて。

「うん! フラワーロードになれば、活気がでてくるよ、きっと! 園芸部が全面協力しちゃうからね!」

 わたしが明るく言うと、咲也くんも味方してくれて。

「雰囲気は大事ですからね。花のもつ力は絶大ですよ。おれも園芸部員として、がんばりますから」

 おばさんは、うれしそうにアハハッと豪快に笑った。

「若い子たちがそう言ってくれるなら、もうひとがんばりしようかね」

 わたしは咲也くんと顔を見あわせ、たがいに、にっこりした。