小百合センパイが班分けをして、班ごとに作業を進めていった。

 わたしは、里桜と同じ班だよ。

 あと、咲也くんもいっしょだ。

 これについては、小百合センパイの(はか)らいがあったと思われ……。

「愛葉センパイ、このプランタ―はキンレンカでよかったですか?」
「あ、うん。だいじょうぶ」

 咲也くんは、控えめで、すなおな後輩モードだ。ふたりっきりのときと、態度がまったくちがう。

 だんだんと、そのギャップが楽しくなってきちゃった。


 それにしても、今日は快晴。

 日差しが強くなってきて、気温もぐんぐん上昇してる。

 まるで、真夏の予告編みたい。

「一千花ちゃん」

 作業の合間に、声をかけられた。

「あっ、おばさん!」

 商店街の一角(いっかく)にある、アジサイ書店のおばさんだった。

 かたわらには、おじさんもいて、

「やあ、一千花ちゃん。ご苦労さま」

 と、ねぎらってくれた。

 アジサイ書店は、わたしが小さなころからよく漫画を買いに行っている本屋さん。このご夫婦が経営しているんだ。すっかり顔なじみなの。

「暑いでしょ。これ飲んで」

 ご夫婦は、班のみんなに、冷え冷えのスポーツドリンクのペットボトルを差しいれしてくれた。

 わあっ! うれしい!

 みんなでお礼を言って、休憩することにした。