咲也くんはアゴに手をやると、にやりとして、

「なるほど。話が読めてきたよ。君は最初からそのつもりで……?」

 と問いかけた。

 うなずくブルームス。

「一千花を守るナイトになれるのかどうか、見きわめるつもりで会いにきたのよ。魔眼を持っていようと、アンタはもう魔神リュウトじゃない。確信できたわ」
「とりあえず合格ってわけか……」
「まあね。あらためて、おねがいするわ。学校にいるあいだ、一千花のことを守ってほしい」
「もちろんだ。この魔眼は、クソ親父がおれにのこした厄介なものだけどさ、一千花センパイを守るためにトコトンつかってやるさ」

 なんだか、わたしぬきで、ブルームスと咲也くんのあいだで話が進んでいるけれど……。

「ちょっと、ちょっと、どういうこと!?」

 たまらず割って入ると、咲也くんはウインクした。

「一千花センパイのナイトに任命されたのさ」
「ええっ!?」

 心臓がいきおいよく跳ねあがる。

 魔力ゼロのわたしだけど、恋の魔力がチャージされてしまったみたい。

 見つめあう、わたしたち。

 咲也くんの瞳はとってもきれい。

 左目が魔眼だなんて、まだちょっと信じられない。

 こほん、と軽くせきばらいするブルームス。

「恋愛は禁止だからね」

 釘をさされて、咲也くんは肩をすくめた。

「ありゃりゃ……」

 ブルームス、ごめん!

 恋愛禁止を守れる自信がないよ!