「ありがとう、一千花センパイ……」
ホッとしたようにほほ笑んでいる咲也くんを見て、わたしの心にあったモヤモヤが晴れていく。
咲也くんが左目から手をはなすと、魔眼のまがまがしい光は消えていた。
「おれには魔力がない。それは事実だ。もう二度と、魔神リュウトになることはないし、だれかに害をおよぼすこともない。ブルームスが心配しているようなことにはならないよ」
「だけど……魔眼が心配だわ」
なおも警戒をとかないブルームスに、肩をすくめる咲也くん。
「……魔眼に気づいたのは、神戸に行って、しばらくしてのことだ。魔物が見えるし、やつらの声がきこえるんだ」
「声が……?」
わたしがたずねると、咲也くんはうなずいた。
「おれたちの戦いが終わったあと、魔界へのゲートをひらくものがいなくなって、戦いを生き残った魔物が地上にとり残された」
「ええっ!? 生き残りがいたの!?」
おどろくわたしに、咲也くんが首を横にふる。
「魔力の強いやつはすべてアイカが倒したから、残っているのは、核の魔石が砂つぶくらいの、大して害のないやつらだよ。ただ……困ったことに、開花町から神戸まで追ってきたやつらがいて、おれを誘惑してくるんだ。『自らの心を闇に染めれば、魔神リュウトとして復活できる』ってな」
「それで……どうしたの?」
ごくりと、つばを飲みこむわたし。
ホッとしたようにほほ笑んでいる咲也くんを見て、わたしの心にあったモヤモヤが晴れていく。
咲也くんが左目から手をはなすと、魔眼のまがまがしい光は消えていた。
「おれには魔力がない。それは事実だ。もう二度と、魔神リュウトになることはないし、だれかに害をおよぼすこともない。ブルームスが心配しているようなことにはならないよ」
「だけど……魔眼が心配だわ」
なおも警戒をとかないブルームスに、肩をすくめる咲也くん。
「……魔眼に気づいたのは、神戸に行って、しばらくしてのことだ。魔物が見えるし、やつらの声がきこえるんだ」
「声が……?」
わたしがたずねると、咲也くんはうなずいた。
「おれたちの戦いが終わったあと、魔界へのゲートをひらくものがいなくなって、戦いを生き残った魔物が地上にとり残された」
「ええっ!? 生き残りがいたの!?」
おどろくわたしに、咲也くんが首を横にふる。
「魔力の強いやつはすべてアイカが倒したから、残っているのは、核の魔石が砂つぶくらいの、大して害のないやつらだよ。ただ……困ったことに、開花町から神戸まで追ってきたやつらがいて、おれを誘惑してくるんだ。『自らの心を闇に染めれば、魔神リュウトとして復活できる』ってな」
「それで……どうしたの?」
ごくりと、つばを飲みこむわたし。


