わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

 美しく、整った顔が、ゼロ距離にあるっ!

 じたばたと、みっともなく動いていたわたしの手足が止まる。

 逆に、胸はときめいて、心臓が暴れ馬みたいに()ねまわってる。

「じっとしててください」
「うん……」

 咲也くんに言われるまま、棒立ちになっていると、咲也くんは、そっと手を伸ばした。

 わたしの左肩まで上がっていたトカゲをつかむと、土に逃がしてやる咲也くん。

「あ、ありがと……」

 ホッとしてお礼を言うと、咲也くんは立ちあがって、にんまりした。

「ミミズと同じで、トカゲがいる土もまた、いい土ですよ。虫を食べてくれますから」

 ううっ。返す言葉もございません。

 だけど、トカゲだけはホントにダメなの!

「トカゲくらいで、みっともねーぞ、一千花」

 額の汗をふきつつ、蓮くんが言ってきた。

 バカにしてるというより、意外そうな表情で。

「おまえ、トカゲなんか平気でつかまえてたじゃねーか」
「それは、小さいころの話でしょ」

 口をとがらせるわたし。

 そう。元々は、わたし、トカゲは平気だったんだ。

 でも、小学五年生のとき――魔法少女アイカをやっていたときに、魔界軍のトカゲみたいな魔物と戦って、大苦戦したんだよね。

 サラマンダーとかいう名前で、炎をあやつる、トカゲの怪物!

 なんとか勝てたけど、そのときの苦い記憶のせいで、トカゲが苦手になってしまった。

 考えてみれば、あいつは魔神リュウトの部下だった。

 つまりは……わたしが今、トカゲが苦手なのは、咲也くんのせいなんだ。

 少し腹立ってきたので、じろりと咲也くんをにらむ。