わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

 わたしが園芸のウンチクを披露しても、女の子たちはミミズが心底苦手みたいで、嫌そうな顔をしている。

「はあ……。でも気持ちわるいですよー。愛葉センパイは平気なんですか?」

 なんて聞かれたので、そこはセンパイらしく、胸をはって答える。

「そりゃあね。園芸には、ミミズや虫はつきものなの。ゆっくりでいいから慣れていってね」

 後輩たちにほほ笑んでみせたときだった。

「愛葉センパイ」

 うしろから声をかけられ、ふり返ると、咲也くんが立っていた。

「どうしたの?」

 小首をかしげると、咲也くんは、わたしの左腕を指さした。

「トカゲがくっついてますよ」
「……え?」

 舌をちょろちょろと伸ばし、わたしを見あげているトカゲと視線がぶつかる。

「きゃああああああああ!」

 わたしの悲鳴が、運動場に響きわたった。

 トカゲだけは無理!

 ミミズや虫は平気だけど、トカゲだけは、ぜったい無理!

「やだ、やだ! とって、とって!」

 パニックになって、まわりに助けを求めるわたし。

「私もトカゲは無理!」

 なんて言って、逃げる小百合センパイが視界に入る。

 薄情者~っ!

「落ちついて、愛葉センパイ」

 やさしい声とともに、そっと、わたしの肩を抱きよせたのは――咲也くん。

 まわりの女の子たちが、「きゃあ」と色めきだったのがわかる。