わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

 またもや、小百合センパイが、わたしのそばにぴったりついていたんだ。

「あの~、勝手にわたしのキモチをナレーションしないでくれます? 小百合センパイ!」

 抗議しても、小百合センパイはどこ吹く風だ。

「門倉部長とお呼びなさい」

 と言ったかと思うと、にんまりして。

「意識してるんでしょ。バレバレよ」
「い、意識なんてしてませんっ!」

 思わず大きな声が出て、あわてて口をおさえる。

 あたりを確認したけれど、だれにも聞かれなかったみたい。

 小百合センパイは、わたしの肩をぽんぽんとたたいた。

「まぁまぁ。あんなシチュエーションになったら、イヤでも意識するわよ、フツー。年下といっても、あれだけイケメンだもの」

 うっとりした様子の小百合センパイ。

 意識かぁ。

 やっぱり、わたし――咲也くんのこと、意識しちゃってるのかな?


     ◆


「最近、ほったらかしだったからなぁ。荒れ放題だな」

 頭をかきながら植草先生が言ったとおりの光景――。

 陸上部やサッカー部が練習中で、活気のある運動場の片すみに、園芸部の畑があった。

 けれど、雑草が伸び放題で、畑というよりジャングルだ。

「五月に入ったら、スイカとミニトマトの苗を植えるからな。今のうちに、きれいにしておかないと」

 植草先生が言うと、小百合センパイはうなずいて、腰に手をあてた。

「御堂くん! 乙黒くん! あなたたち男子の見せ場よ! 草をどんどんぬいちゃって! ちゃんと根っこからね!」