わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

     ◆


 およそ十分後――。

 植草先生はジャージに、園芸部員は体操服に着がえて、校門に再集合していた。

 今は桜の木に目をうばわれてしまうけれど、花壇やプランターもあるんだ。

「ここが一番、人目につくところだから、キッチリ手入れしなくちゃいけないわ。まあ、私がしっかり管理しているから、だいじょうぶなんだけどね」

 小百合センパイが得意げに言うだけあって、チューリップ、ネモフィラ、ゼラニウムなどが、きれいに咲きほこっている。

「ここはいいとして……問題は他のところ! 中庭と裏門にも花壇やプランターがあるし、運動場のわきには畑があるわ。まずは畑に行ってみましょう」

 小百合センパイの自慢につきあわされただけのような気もするけれど、わたしたちはワイワイガヤガヤと、運動場のわきへ大移動!

 わたしは歩きながら、チラチラと咲也くんを目で追ってしまう。

 咲也くんの腰には作業用ベルトが巻かれていて、スコップや霧吹きなんかが入っている。

 咲也くん本気だ!

 花を憎んでいた魔神から、園芸王子に生まれ変わったんだ……。

 ふと、こっちを見た咲也くんと、視線がぶつかる。

 わわっ! びっくりした!

 あわてて目をそらすわたし。

「年下のイケメンに()かれている自分に気づき、とまどいをかくせない一千花であった」
「…………」