それを見て、苦笑いしつつ、言葉をつづける植草先生。

「うちは掛けもちOKだからね。空いている曜日だけ参加という形で構わないけど――」

 植草先生は言葉を切って、頭をかいた。

「そのせいか、毎年、人手が足りないのが現状なんだ。今年度からはさらに忙しくなるし、この人数でも、まだ人手不足だな」

 すると、蓮くんが手をあげた。

「先生! 忙しくなるって、例の寄付……?」
「そう。匿名(とくめい)で、開花町に多額の寄付があったからな。うちの中学はもちろん、町全体で緑化運動を進めていくことになるんだ。そのために、園芸部の力が必要になるってわけだな。まあ、人手不足を嘆いていてもしょうがない。みんなで力を合わせて……」
「そういうことなら、しょーがねー。いっちょ、やってやるか!」

 おどけたように蓮くんが言ったので、すかさず小百合センパイが口をはさむ。

「御堂くん、あなた今までサボってばかりで、戦力になったためしがないわ」
「バッカやろ、ここから本気だすんだよ。大体、おれの魅力で新戦力を連れてきたんだからな。デキる男だろうが。なっ?」

 蓮くんが新入生の女の子たちに問いかけると、黄色い歓声があがった。

 はあっと、ため息をつく小百合センパイ。

 植草先生は眼鏡を押しあげて、

「ま、まあ……今日から、新体制の園芸部が本格始動だ」

 と、少し頼りなげに宣言した。