「ダメじゃないけど……」
「おれたち、小学校のときは、接点なかったことにしておいたほうがいいでしょ? でも、ホントは深―い仲じゃん。世界の命運をかけて戦ったんだから……。秘密の関係みたいじゃない?」
「秘密の関係って……」

 そんなこと言われたら、ドキドキしちゃうよ!

「一千花センパイには、生まれ変わったおれを見てほしい。だから、いつだって一千花センパイの味方だし、ぜったいに守ってみせるよ」

 やさしい言葉にドキッとして、咲也くんの顔を見あげると――。

「――っ!」

 思わず、息をのむわたし。

 うす暗いなかで、まがまがしい紫色の光をはなつものがあったから。

 どうやら、それは咲也くんの左目が光っているらしく……。

「どうしたの?」

 たずねられ、まばたきをすると、もうその光は消えていて、不思議そうにわたしを見つめている咲也くんがいるだけ。

 今のは、なんだったんだろう? なにかの見まちがいかな?

「ううん、なんでもないの」

 そう言って、咲也くんの横をすりぬける。

「さっ、もうすぐ昼休み終わっちゃうよ」

 歩きだしたわたしのあとを、だまってついてくる咲也くん。

 椿センパイにイヤなこと言われて、泣きそうになったことは、もうすっかり頭にはなかった。

 咲也くんに助けてもらって、ドキドキした気持ち。

 その一方で――目が、まがまがしく光った気がして、不安にもなった。

 咲也くんは、もう魔神リュウトじゃない。

 だけど……わたしは、心のどこかで、咲也くんを怖れているのかもしれない。