「白馬の王子さまかあ……」

 わたしは仰向けになって、天井を見つめた。

「たしかにカッコよく成長してるよ。イケメンだし、やさしいし、機転がきくしさ~。芯も強い感じかな。魔神リュウトだったころの面影なんてひとつもなくてさ、安心しちゃった」

 思わず、ふふっと笑ってしまう。

「でもさ、ブルームスが心配してるようなことにはならないよ」
「どうして?」
「笑っちゃうくらい、釣りあいがとれてないもの。咲也くんは、わたしにはまぶしすぎるよ。好きになるとか、ありえない」
「釣りあいがとれてない、なんてことはないわよ。一千花は素敵な女の子だもん」
「ありがと。でも、わたしが咲也くんと釣りあってたら、ブルームスは困るんじゃない?」
「あっ……」

 ブルームスが固まったので、わたしは苦笑いを浮かべた。

「咲也くんが王子さまだとして……わたしはお姫さまにはなれないよ。アガリ症だし、バスケ部もやめちゃったし、勉強もダメダメだし。成長してるところなんて、ひとつもない。魔法少女やってたときは大変だったけど、もっと自分に自信あったよね」

 言葉にして吐きだしたら、どんどんみじめな気持ちになってきた。

 すると、ブルームスが、ふわふわのほっぺをスリスリしてくれて。

 わたしをなぐさめてくれるとき、必ずやってくれるんだ。