わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

「きゃあ! 御堂センパイよ!」
「かっこいい!」

 新入生たちのなかから、黄色い歓声が飛ぶ。

 蓮くん目当ての女の子もいたみたいだ。

「まぁまぁ。おもしろい出し物を思いついて練習してたんだよ。ここからは、おれにまかせてくれよな。園芸部の魅力をアピールするからさ」

 蓮くんがウインクすると、

「しょうがないわね。見学会もあるから、三分以内でね」

 と、場所をゆずって、わたしのとなりに立つ小百合センパイ。

「ウケをとれよ!」

 蓮くんの友だちふたりは、一番うしろの席に座った。

「――では、副部長のおれ、御堂蓮が、園芸の心がまえを空手の演武で表現します」

 ええっ!?

 園芸と空手が結びつかない。どんなふうになるんだろう?

「園芸は忍耐力が必要です。水やりや雑草ぬきなど、地道な作業ばかりです」

 そう言うと、蓮くんは気合いの入った声を、理科室に響かせた。

「忍耐だー! うりゃあ! せやあっ!」

 さけび声とともに、まるでだれかと戦っているかのように、突きや蹴りをくりだす。

 空手の型だ。

 わあっと、みんなが沸いた。

 やがてピタッと動きを止めると、蓮くんは、ふたたび口をひらく。

「そして、植物の敵は害虫です。予防や駆除作業が必要になってきます」

 言葉を切って、大きく深呼吸。

 蓮くんの(ひたい)には、玉のような汗。