こういうの苦手なんだよね。

 引っこみ思案な性格ではないけれど、大勢の人たちのまえで話すのって、アガってしまってダメなんだ。

 あたふたしていると、室内がザワザワしてきた。

 ヤダ、どうしよう!?

 そのとき――。

 男の子が立ちあがって、近づいてくる。

 ――咲也くんだった。

 わたしのすぐ横に立つ咲也くん。

 えっ!? どうして咲也くんが!?

 パニックになっていたら。

 新入生の女の子たちから、黄色い歓声があがった。

 みんな、イケメンの咲也くんが目当てだったみたい。

 でも、そんなことはどうでもよくて……。

 咲也くんは、そのきれいな顔をぐっとわたしに近づけたの。

 ドキッ。

 アーモンドのような甘い香りが鼻をくすぐる。

 そして、咲也くんはわたしにだけ聞こえる声で言ったの。

「深呼吸して落ちついてください。おれがつなぎますから」

 わたしはこくっとうなずくと、深く息を吸って、吐きだした。

 そうだ。落ちつかなきゃ!

 その間に、咲也くんは新入生にむかって話しはじめた。

「えー、おれは、みんなと同じ新入生だけど、すでに園芸部に入りました。花が好きだし、センパイたちも、おれにやさしくしてくれたから、迷うこともなかったです。……で、具体的な活動内容ですけど――」

 わたしのほうを見て、説明をうながしてくれる咲也くん。