無数の眼が、わたしを見つめている。

 わわっ、どうしよう。

 背中を、冷たい汗が流れる。

 頭のなかはもう真っ白だ。

 落ちつけ、わたし!

「えー、わたしたち園芸部は……」

 いきなり声が裏返ってしまって、クスクスと笑い声が聞こえてきた。

「えー……」

 はずかしさで全身が燃えあがりそう。

 もう一刻も早く、この場から消えたいっ!

「えっとですね……」

 だから、わたしには無理だって言ったのに!

 園芸部の部長で、三年の門倉(かどくら)小百合(さゆり)センパイに、目線でSOSを送る。

 小百合センパイは口をパクパクさせた。

 え? がんばれって?

 どうがんばるのよ、この状況でーっ!


 場所は理科室。

 わたしはひとり、前に立って、みんなに見つめられている。

 今日は、クラブガイダンスの日。

 なぜか今年の園芸部は大人気で、十人以上もの新入生が詰めかけたんだ。全員女子だけど……。

 見学会のまえに、五分ほど時間をとって、部のアピールタイム。

 まずは、副部長の蓮くんが、活動内容をざっと説明することになっていた。そのあと、部長の小百合センパイが、花の魅力について話すという流れ。

 だけど、時間になっても、蓮くんはちっとも来ない。

 やっぱり、名ばかり副部長だ。

 しびれを切らした小百合センパイは、急きょ、代役をわたしにまかせたってわけ。