魔神リュウガとは、あらゆる世界を闇に染めあげてきた悪の化身にして、魔界の支配者。

 美しい花々が咲きほこるという、伝説の楽園・ブルームガーデンをねらった魔神リュウガは、花の女神さまと戦い、敗れ去った。

「魂だけになった魔神リュウガは、人間界へと逃げてきて、まだ赤ん坊だったボクの体に入りこんだんだ。新たに生まれ変わるために……。そして、十歳の誕生日に、ボクはリュウガの息子――リュウトとして覚醒した」

 そこまで言って、咲也くんは顔をしかめた。

「ボクは最低だ。世界を闇に染めあげ、花どころか草木も生えない暗黒の地に変えようとしたんだから……」

 わたしは首を横にふった。

「咲也くんが悪いんじゃない。すべての元凶は、魔神リュウガだよ!」

 すると、咲也くんの胸から、スーッと黒い石が出てきた。

 これこそ、魔神リュウガの魂――闇の魔石だ。魔界の魔物たちにとっては、闇の魔石が(コア)であり、魂なんだ。

 パリ―ン!

 リュウガの魂は、くだけ散り、跡形もなく消えてしまった。

「ほら、安心して。わたしの必殺技で、リュウガの魂を完全に消し去ったから。もう、咲也くんは解放されたの。リュウトになることは二度とないから……」

 わたしがほほ笑んでも、咲也くんは表情をゆるめない。

「いや、ボクの罪は決して許されるものじゃないよ。どうせなら、ボクの体ごと消し飛ばしてほしかった……」

 吐きすてるように言って、顔をそむける咲也くん。