「それはまた……運命の再会というか……」

 ブルームスが、まん丸な目をぱちくりさせる。

「そうなのよ! びっくりしちゃった!」

 わたしは家に帰ってすぐ、部屋でセーラー服をぬぎながらブルームスに報告していた。

 かつて魔神リュウトとして、世界を闇で染めあげようとした男の子。

 わずか二年で、別人のように成長して、ふたたびわたしの前にあらわれたんだ。

 身長はわたしを追い越しているし、すっかりイケメンになっていて、すぐには咲也くんだとはわからなかった。

「お父さんが神戸に転勤になっていたけど、またこっちに帰ってくることになったんだって」
「それで、咲也くんとどんな話をしたの?」

 真剣な表情で、ブルームスがたずねてきた。

「それがね……たがいにリュウトとアイカだってわかったあとは、あまり昔の話はできなくて……」

 部屋着に着がえたわたしは、苦笑いして報告をつづける。


     ◆


「リュウト……」

 つぶやいたわたしの頭のなかに、一年にもわたる魔法バトルの記憶がよみがえる。

 それは、思いだすのもつらい記憶――。

 世界の命運が、小学五年生のわたしの肩にかかっていたのだから。

 だけど、咲也くんはもう、魔神リュウトじゃない。

 わたしだって、魔法少女アイカじゃない。