え? え? だれなの?

 わたし、こんなイケメンは知らないよっ!

 必死に記憶をたどっても、この男の子のことは思いだせない。

 おもむろに、わたしに近づいてくる男の子。

「忘れてしまったんですか? おれのこと……」

 向かいあわせになって、男の子を見あげる形になった。

「ご、ごめん! えっと、どこかで会ってる?」
「会ってるどころか、何度も戦った仲じゃないですか」
「えっ……?」

 男の子は腰を折って、わたしの顔をのぞきこむ。

 あらためて……やっぱりイケメンだ。

 なんてきれいな顔立ちなんだろう。

 まるでアイドルみたい。

 肌は雪のように白くて、にきびとかもないし。

 とりわけ、瞳が特徴的で。

 その涼しげな瞳に、わたしの顔がうつっている。

「ひさしぶりだね、魔法少女アイカ」
「――っ!」

 まさか。うそでしょ!?

「おれは魔神リュウト。――乙黒咲也だよ」