ふたりで草引きをはじめると、しばらく無言がつづいた。

 ちょっと気まずい。

 話しかけようと思ったら、男の子のほうから口をひらいた。

「入部届って、センパイに渡したらいいですか?」
「あ、うん。わたしでもいいし、顧問の植草先生でもいいし。あっ、三日後にクラブガイダンスがあるよ」
「クラブガイダンス?」
「うん。クラブの説明会と見学会――だね。入部はそれを見てから決めてもいいよ。うちは部員全員があつまるのは水曜日だけで、あとの曜日は自由参加なの。だから、他の部と掛けもちでやってる人がほとんど。わたしもそうだし……」
「へえ、センパイも掛けもちなんですか?」

 わたしはうなずいて、ぎこちなく笑った。

「バスケ部とね。でも、わたし運動オンチなんだあ。みんなについていけなくてね。園芸部専属になるかも」
「センパイが専属なら、おれもそうします。他の部には入らない」

 えっ!? それって、どういう……。

 思わず手を止めて、男の子のほうを見る。

 向こうもわたしを見ていたから、視線がぶつかりあった。

 だまって、ニコッとする男の子。

 きっと、深い意味なんてないよね。

 動揺しているのを気づかれたくなくて、うつむき加減になるわたし。