なんだ、なんだ。

 クールなイケメンで、ちょっと不良っぽいけど、「花が好きなんです」だなんて。

 ギャップがすごくて、クラクラしてきた。

 とにかく素敵だ! ときめいてしまった!

 ぽーっとなって、なにも言えないでいると。

 男の子の眉が下がった。

「えっと……ヘンですか? 男が花を好きなのって……」

 わたしは、首をぶんぶんと横にふった。

「ううん! ちっともヘンじゃないよ! 素敵だと思うよ! うちはずっと人手不足だから、入部は大歓迎!」
「そうですか。じゃあ、お世話になります」

 男の子は軽く頭を下げると、花壇に向きなおった。

 やっぱり手伝ってくれるらしい。

「あっ、この軍手、よかったら使って。新しいやつだから」

 わたしは、手にもっていた軍手を男の子に渡した。

 予備がないから、自分の分を取りにいかなくちゃ。

「ちょっと待っててね。すぐ戻るから」

 踵を返すと、腕をがっとつかまれた。

「――っ!」

 びっくりしてふり返ると、男の子がわたしを見下ろしている。

 わわっ! 近い!

「センパイ。おれ、いらないですよ。結構、雑草あるじゃないですか。ふたりでパパッとやっちゃいましょう」

 そう言って、男の子はわたしの腕をはなすと、軍手を返してきた。

「う、うん……」

 わたしの心臓は、すっかり跳ねあがっていた。

 相手は新入生で、年下だっていうのに、ときめいている自分がいる。