ただ……魔法のステッキに魔石を埋めこむことができなくて……。それは、ブルームガーデンに住んでいる職人さんにしかできないことなんだって。

 魔法のステッキが使えなければ、自由に魔法は使えないし、ブルームガーデンへのゲートもひらくことができない。

 だけど、わたしはブルームスに約束したの。

 ――咲也くんと力を合わせて、必ず、ゲートをひらいてみせるからね。


「蓮くん、蓮くん!」

 わたしは、倒れている蓮くんの体をゆらし、呼びかけた。

 ゆっくり目をひらいた蓮くんは――。

「え……? 一千花? うおっ! 乙黒まで!」

 がばっと起きあがった蓮くんは、あたりをきょろきょろと見まわした。

 すっかり日も落ちて、照明が灯された、夜の公園。

「あれ……? なんでおれ、倒れてんの……?」
「えっと、話があるからって言われていっしょに来たら、蓮くん、いきなり倒れるんだもん。びっくりしちゃった」

 あわててわたしが言うと、眉をひそめる蓮くん。

「倒れた……? あっ、最近、寝不足だったからな。つーか、なんで乙黒まで?」
「偶然、近くを通りかかったもので」

 クールな表情でとりつくろう咲也くん。

「偶然……? まあ、いいや。……っと」

 立ちあがろうとした蓮くんを、わたしと咲也くんで支える。