わかってはいたんだ。このままじゃいけないって。

 うちの女子バスケ部は地区大会でも無敵の強豪。わたしみたいな運動オンチがついていける部活じゃなかった。

 里桜はわたしとちがって、めきめきと上達していって、二年生になればレギュラー確実と言われるようになった。

 それにひきかえ、わたしは……。

 やめようかどうしようか悩んでるとき、園芸部顧問の植草先生に誘われたんだ。「掛けもちでやってみれば?」って。バスケ部顧問の厳しい清水先生もなぜか許可してくれて。

 気が向いたときだけバスケ部に顔を出すという中途ハンパな状況がつづいたけれど、わたしがいなくても特に困ることはないようで、怒る先輩もいなかったんだ。

 それに甘えて、ズルズルと結論を引きのばしてきたけれど、もう決めなくちゃね。


     ◆


 体育館で始業式が行われたあと、新入生が入場してきて、そのまま入学式に突入した。

 真新しい学ランとセーラー服に身をつつみ、緊張した面持ちの新入生たち。

 去年の自分たちを思いだして、思わずくすりとした。

 そういえば――。

 乙黒咲也くんも、この四月から中学生だよね。

 あの戦いのあとすぐ、咲也くんは本当に、神戸に引っ越してしまったんだよね。

 今、どうしてるんだろう? 元気かな?