「オレさまは、自分の魔石のカケラを地上に飛ばして、おまえをずっと見ていたんだぜぇ。復讐するそのときを待ちながらな。魔神リュウトが、この町に帰ってきたときは、魔界軍を再興できると思ったが、期待はずれだったな」

 吐きすてるように言うテュポーン。

「魔神リュウガさまの魂は完全に消えていた。しかも、おまえに恋して、守るような行動ばかりを! おまえにかかっていた呪いを強くしてやったが、逆に消されてしまった! あのキスによって!」

 やっぱり、おでこのキスが呪いを消してくれたんだ!

「魔神リュウトの魔眼は、日に日に力を強めている。だが、その力は、おまえを守るためにしか使わんだろう。だから、オレさまは魔神リュウトを見限ったのだ」

 わたしは、テュポーンの足元に、蓮くんが倒れていることに気づいた。

「蓮くん!」

 あお向けの蓮くんは、気を失っているみたいで。

 すると、蓮くんの体から、黒い石のカケラが出てきた。

「御堂蓮は、おまえに恋していた自分に気づいたが、もう遅かった。おまえは魔神リュウトに夢中になっていたからな。その落ちこんでいる心に、魔石のカケラをしのばせて、あやつり人形にした。失意の人間ほど、コントロールしやすいのさ」

 げひひ……と、不気味な笑い方をするテュポーン。