公園内は、わたしたち以外に、だれもいない。

 巨大クスノキまで来て、ようやく蓮くんは足を止めた。

 園芸部の話って、なんだろう?

 まさか、植草先生が元ヤンだった話じゃないだろうし。

「蓮くん。話って、な~に?」
「いや……実はさ、乙黒のことなんだよ」
「咲也くんのこと……?」
「ああ」

 首のうしろをかく蓮くん。

 うす暗いなかでも、照れたような表情になっているのがわかる。

「おまえらって、マジでつきあってるんだよな?」
「それは……」

 わたしたちの関係って、とってもフクザツで。

 まだつきあってはいないけれど、「つきあってない」と説明するのはちがう気がした。

「えっと……つきあってる……かな」

 迷ったあげく、答えをしぼりだす。

「そっか……」

 蓮くんの声色に、悲しみがにじんでいるのを感じて、ハッとした。

「乙黒って、最初から一千花にほれてる感じだっただろ? おまえだって、乙黒のことをただの後輩として見てる感じはしなかったし……。だったら、うまくいけばいいなって余裕かましてたけど――」

 このあとの展開が予想できてしまって、わたしは緊張で、どういう顔をすればいいか、わからなくなっていた。

「うまくいってる一千花たちを見てたら、胸がこう……しめつけられるんだよ」

 苦しそうに胸をおさえる蓮くん。