わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

「その蓮くんから、かすかに闇の魔力を感じるのよ」
「ええっ!? むぐっ」

 おどろいて大声が出たわたしの口を、肉球でふさがれてしまった。

「しーっ。かすかに……だけどね。一千花とふたりきりにするのは心配だわ。アタイもついていくから」
「いいけど……ブルームスはだいじょうぶなの……?」
「短時間ならヘーキよ。一千花は普段通りにふるまってね」
「うん……」

 蓮くんから魔力が!? どういうことなんだろう?


     ◆


 わたしの家からそう遠くない、開花第一公園。

 今や、わたしと咲也くんの待ちあわせ場所だ。

 もうすぐ午後七時。

 空は藍色から、黒色へと移ろいでいる。

 蓮くんとふたり、公園に着くまで、いろいろ話した。

 とりとめもない話が多かったけれど、唯一、植草先生が元ヤンだった話にはびっくり!

「なんだ、知らなかったのか? 植草センセはうちのOBでさ、伝説のワルだったって話だぜ」

 ひええ~。人は見かけによらない!

 そういえば、バスケ部の清水先生も、うちのOBだったはず。

 植草先生と清水先生って、同い年くらいだよね。

 清水先生がすんなり、わたしの掛けもちを認めてくれたのって……。

 なんだか理由がわかった気がした。

 伝説のワルに、いまも頭が上がらなかったりするのかも。

 ちなみに――わたしの肩には、ブルームスが乗っかっているよ。

 蓮くんにはその姿は見えないし、ふれることもできないけれど、ちょっと緊張する。