デザートのプリンを食べおわると。
「ごちそうさま! おいしかったよ、おばさん。なつかしの味ってカンジ」
蓮くんは満足げに言って、わたしを見た。
「一千花。園芸部のことで、ちょっと話あるんだけど、公園まで行かないか?」
「う、うん。いいけど……」
「よし、行こうか」
立ちあがった蓮くんを、万理花が「えー、もう行っちゃうの?」と引きとめようとする。
「アンタ、勉強あるでしょ」
わたしが言ってやると、万理花はぷく~っと頬をふくらませた。
「受験がんばれよ。合格したら、なんかプレゼント買ってやるから」
蓮くんに大きな手をポンと頭にのせられ、
「ホントね!? 約束だよ!」
と、たちまちキゲンを直す万理花。
「蓮くん、ちょっと待ってて。スマホ取ってくるから!」
わたしは、階段に向かってかけだした。
自分の部屋に入ると、けわしい表情のブルームスが宙に浮かんでいた。
また怒らせちゃった!?
ブルームスは、わたしに顔をグッと近づけて、
「下に来ているのは、だれ……?」
と、緊張まじりの小声で聞いてきた。
「蓮くんだけど……?」
「そう……」
考えこむような仕草を見せたブルームスのしっぽが、ピンと立っている。
わたしは、机の上のスマホを手にとり、ネックストラップで首にかけた。
「蓮くんがね、話があるんだって。今からちょっと公園に行ってくるよ」
部屋を出ようとするわたしを、前足を広げて止めるブルームス。


