わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

「蓮くん!」
「よっ、一千花」
「よっ、じゃないわよ。空手の練習はどうしたの!? 今日、スイカとミニトマトの植えつけだったんだよ?」
「まぁまぁ、それはいいじゃん」

 まったく悪びれる様子もない蓮くん。

 むっかー。やっぱりサボったんだ!

「よくないわよ! みんな来てたんだよ?」
「悪かったって。……あっ、ずりーぞ、万理花!」
「へっへーん。油断大敵だよ、蓮くん」

 盛りあがってるふたりを見て、わたしはため息をつき、カバンを下に置いた。

 小学生のころ、蓮くんは万理花の遊び相手になってくれてたっけ。

「蓮くん、夕飯食べていかない?」

 台所から、お母さんが声をかけてきた。

「えっ、いいんですか?」
「もちろんよ」

 ちらりと、わたしを見る蓮くん。

「そうしなよ」

 と、お母さんに助け舟を出す。ひさしぶりに手料理をふるまいたいだろうから。

「じゃあ……そうしよっかな」
「やったあ! 今日、塾が休みでよかったぁ!」

 蓮くんになついてる万理花は大はしゃぎ。

 そんなワケで、四人で食卓を囲んだ。

 平日は、お父さんの帰りが遅いから、三人で食べることが多かったし、とっても新鮮! 

 それに……なつかしい。昔、蓮くんはよく遊びに来たからね。

 話題にのぼったのは、昔の思い出ばなし。

 わたしと蓮くんが体験した笑い話で、お母さんと万理花は、お腹をかかえて笑った。

 ふたりとも、今ばかりは受験のことを頭から追いだして、楽しんでる。

 蓮くんが来てくれて、よかったかも。