「まかせてください! 愛葉センパイ、いっしょにがんばりましょう」

 咲也くんがクールな表情のまま言うと、みんながどっと沸いた。

 わたしの顔は、ミニトマトみたいに真っ赤になってると思う。

 咲也くんは園芸部になじんでるどころか、ムードメーカーになってる!?

 知れば知るほど、不思議な魅力のある男の子だなぁ。


 愛の共同作業のおかげ(?)で、苗の植えつけはスムーズに進んだ。

「愛葉さん」

 一段落したところで、小百合センパイに声をかけられた。

「なんですか、小百合センパイ」

 またからかってくるつもりかも……と思ったら。

「門倉部長とお呼びなさい。……それよりね、あなた最近、イイ顔になったわね」
「え……?」
「ここに入部してきたときは、どこか自信なさげで、道に迷ってる子どもみたいだったもの」
「あはは」

 それは、自覚あります。

 バスケ部のことで悩んでたから。

「だけど……恋というのは、女の子を強くするのよね」
「はあ……」

 この流れは、もしかしてっ!

 小百合センパイは遠い目をして、頬に手をあてた。

「あぁ……私もイケメンと燃えるような恋をしたいわ! 白馬の王子さまがやってきてさ、『君の魅力を開花させてあげよう』なんて言われたりしてっ!」

 体をくねらせ、ハイテンションになる小百合センパイ。

「ああっ! 妄想スイッチ入っちゃった! 小百合センパイ、戻ってきてくださーい!」

 園芸部は、今日も平和です。