ゴキゲンなわたしを見て、クスッとした咲也くんは、

「北海道では、ほかにも収穫があったんだ」

 と、うれしそうに言った。

「収穫って……?」
「教えない。ヒミツだよ」

 咲也くんのイジワルっ! 気になるよ!


     ◆


 五月も半ばの水曜日。快晴。

 園芸部員が、運動場わきの畑に集合していた。

 今日、スイカとミニトマトの苗を植えるんだよ。

「御堂が来てないな? どうしたんだ?」

 植草先生が、みんなを見まわして言った。

「空手の大会が近いって、スッ飛んで帰っちゃいました。いわゆるサボりですっ!」

 小百合センパイがプンプンしながら報告した。

 一年の御堂ファンの女の子たちから「えー」と、残念そうな声があがる。

 そういえば……フラワーロードの作業以来、蓮くんに会ってないや。

 植草先生は苦笑いして、

「しょうがないやつだな。となると……男手は乙黒だけか」

 と、咲也くんを見やった。

「乙黒くんには愛のパートナーがいますから! すばらしい働きをしてくれるでしょう」

 怒りから一転、楽しげなテンションになる小百合センパイ。

「愛の共同作業です! ねっ、愛葉さん?」

 なんじゃ、それはっ!!

 反応に困って、顔を引きつらせていると。

「そうか、乙黒と愛葉には、特にがんばってもらおうか」

 植草先生までにんまりしてノリノリだ。