「おれにもハッキリと姿は確認できないんだ。かすかに気配は感じるけど……。まあ、呪いが消えた以上、見てるだけだと思うけど」
「ええっ、見られてるなんて不気味だよお」
「……だよね」

 頭をかく咲也くん。

「でも……相手が実体をあらわして、一千花センパイをおそってきたら、そのときは容赦しない」

 うーん。

 いくら魔眼をもっているからって、魔力のない咲也くんが魔物と戦えるとは思えない。

 わたしの不安げな表情を見て、フッと笑みをこぼす咲也くん。

「だいじょうぶだから。そんな顔しないでよ」

 そう言って、カバンからなにかを取りだした。

「はい、おみやげ」
「ええっ、いいの!?」

 咲也くんから受けとったのは――。

 女の子に人気で、わたしも大好きなキャラクター・フローニャの小さな人形がついたスマホのネックストラップだ! 猫がモチーフのフローニャが、ラベンダー色のドレスを着ている。

「北海道限定らしいよ。よかったら使って」
「ありがとう! ぜったい使うよ!」

 うれしいよ~。

 帰ったら、さっそくつけようっと。

「一千花センパイ、そろそろ行こうか」
「うん!」

 わたしたちは、ならんで歩きだした。

 咲也くんのすぐ横を、鼻歌まじりに歩くわたし。