「えっと、休みあけから、いっしょに登下校しない?」

 魔物の呪いが強くなってきたことを警戒してくれているんだろうけど、それって、いわゆる――登下校デート!?

「う、うん。いいよ……」
「じゃあ、開花第一公園に、朝八時に待ちあわせで。いいかな?」
「わかった」

 こくりとうなずくと、咲也くんは「じゃあね」と歩きだした。

「今日はホントにありがとう!」

 わたしはあわててお礼を言うと、咲也くんの背中が見えなくなるまで、ずっと見つめていたんだ。


     ◆


 考えてみれば、お母さんたちが留守なのはよかったかも。

 オシャレなワンピースを着て帰ったこと、髪型が変わってること、うす~くメイクしてること。

 お母さんや万理花につっこまれて、根ほり葉ほり聞かれるにきまってるもん。

「ただいま~」

 二階に上がって、自分の部屋に入ると――。

 ブルームスが宙に浮かび、前足を組んで、わたしを待ちかまえていた。

 なんだかお怒りのようです。

「おかえり、一千花。素敵なワンピースね」
「あ、ありがと……」

 ごくりと、つばを飲みこむわたし。

 ブルームスのしっぽが左右にはげしくゆれ、風がおこって、わたしの髪をゆらす。

「あら、髪形かわってるわね? うすく化粧もしてるわ。部活に行ったはずが、おめかししてデートかしら?」

 まるっきり、お母さんじゃん!