開花パークは基本的に、四季折々の花を楽しむところ。

 だけど、一つだけ、遊園地みたいな要素があって。

 それが、開花町を一望できる観覧車なの。

「やった、間にあったね」

 肩で息をしながら、ホッとしたようにほほ笑む咲也くん。

 わたしは、ぜーはーと息を切らし、胸をおさえて、呼吸をととのえるので精一杯。

 バスケ部の練習についていけなかったのは、運動オンチなのと、この体力のなさ!

「一千花センパイ、だいじょうぶ?」

 咲也くんは申し訳なさそうに、眉を八の字に下げた。

「ごめんね。無理に走らせてしまって……」
「ううん、もうだいじょうぶだよ」

 ようやく呼吸が落ちついてきて、わたしはニコッとした。

「そう……? じゃあ、行こうか」

 わたしは、歩きだそうとした咲也くんの腕をつかんで、

「ちょっと待って」

 と止めた。

「どうしたの……?」

 目を丸くする咲也くんに、わたしはおずおずと切りだす。

「あのね……この観覧車にはジンクスがあってね……」
「知ってるよ」

 咲也くんは平然と言った。

「デートでカップルが乗ったら、必ず別れるっていうジンクスでしょ?」
「知ってたの!?」

 おどろくわたしに、うなずいてみせる咲也くん。

「よくあるうわさだよ。おれはそんなの気にしない。一千花センパイは気にするの?」
「そんなこと……ないけど……」