さっきからドキドキしっぱなしで、もう心臓がもたないよっ!

「おれ、神戸に行ったあと、ほかの女の子は好きになってないんだ。初恋がまだケイゾク中ってわけさ」

 咲也くんはニコッとして、わたしの肩に手をおいた。

「おれは一千花センパイをぜったいに守る。約束する。だから――」
「だから……?」

 わたしは、咲也くんの瞳をまっすぐに見つめて、言葉をうながす。

「一千花センパイの胸のなかにある光で、おれを照らしつづけてほしい。すぐうしろ向きになるおれを、その光で正しい方向に導いてくれよな」
「咲也くん……」

 もう自分にうそはつけない。

 こんなに胸がきゅんきゅんと苦しいのは、咲也くんに恋してるからだ。

 恋の花は、とっくに咲いてた!

 ぎゅっとワンピースのすそをつかんで、決意を固めると――。

 園内放送が流れた。

 ――観覧車の受付終了まで、あと十分となりました。ご利用の方は、風の丘エリアまでお急ぎください。

 放送を聞くなり、咲也くんはあわてふためいた。

「しまった! 一千花センパイと観覧車に乗りたかったんだ! すっかり忘れてた!」
「えっ……」
「急げば、まだ間にあうか……。行こう!」
「あっ、待って――」

 走りだした咲也くんに手を引かれていくわたし。

 待ってよ!

 ここの観覧車って、よくないジンクスがあるんだよ、咲也くんっ!