わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

「えっ、キラキラしてて、はかない感じって言いたかったんだけど……。ダメだった!?」

 あわててアゴに手をやり、考えこむ咲也くん。

「ダメじゃないけど……」
「ダイヤモンドみたいって言うべきだったか。しくじったなぁ」

 残念そうな咲也くんに、わたしはこらえきれず、吹きだした。

 咲也くんもつられて笑いだし、ふたりの笑い声が響いて――。

 ああ、おかしい。すっかり涙も止まっちゃったよ。


 ふいに、強い春風が吹いて、ハナミズキの木をゆらした。

 わわっ、髪がぐちゃぐちゃだ。

 乱れた髪を、ぱぱっと手ぐしで直すわたし。

 咲也くんは、ハナミズキの花を見あげて、口をひらいた。

「一千花センパイ。ハナミズキの花って、ホントは花じゃないの知ってる?」
「えっ、そうなの?」
「うん。みんなが花だと思って見てるのは、ホントは葉っぱなんだ。花は、葉っぱの中心に小さくあつまってるんだよ」
「そうなんだ? ぜんぜん知らなかったよ」

 咲也くんは、左目をおさえた。

「この魔眼は厄介でさ、見たくないものまで見せやがる。……でもさ、他のやつには見えない、かくれた光を見つけることができるんだ」

 そう言って、咲也くんはわたしに向きなおると、左目から手を離した。