わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

 わたしは、眉をひそめた。

「――でもね、戦いが終わって、魔力がゼロになったとき、わたしにはなにも残らなかったんだ。フツーの女の子に戻っちゃったら、わたしにはなんの取り柄もないんだって思い知らされたよね……」
「…………」

 咲也くんは、心配そうにわたしを見つめて、耳をかたむけている。

「勉強は苦手だし、運動オンチだってこともハッキリしてきたしね。ずっと魔法が使えれば、そんな自分と向きあわずにすんだかもしれない。でも、ダメダメな自分と、ずっとつきあっていかなきゃいけない」

 だんだんと声がふるえてきた。

「故郷に帰れなくなったブルームスのことも……わたし……なんにもしてやれない……」

 視界がぼやけてきて、ついには涙があふれ、頬をつたった。

「わたし、なんにも変わってない! 成長してない! 魔法といっしょに、大切なものをなくしちゃったんだ!」

 言葉につまり、泣きじゃくるわたし。

 後輩のまえで泣くなんてはずかしいけど、涙は止まってくれない。

「……一千花センパイがためこんでたキモチ、聞けてスッゲーうれしいよ」

 やわらかな咲也くんの笑顔が、目のまえにあった。

 咲也くんの、大きくて白い手が、わたしの頬に伸びてくる。

「一千花センパイの涙って、葉っぱの上の朝露(あさつゆ)みたい」

 とめどなく流れるわたしの涙をそう表現して、指ですくい取ってくれた。

「な~に、それ?」

 思わず、笑みがこぼれる。