わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~

「でもさ、一千花センパイの幼なじみでしょ? うらやましいよ。おれの知らない一千花センパイを知ってる」
「うん。くやしいことに、わたしの弱点、いろいろ知られちゃってるんだよねぇ」

 わたしがアガリ症になってしまったキッカケの、とある事件のことも蓮くんは知ってるんだよね。

 それは門外不出のヒ・ミ・ツ!

 墓場までもっていってほしいところだけど、蓮くん、まさかだれにも言ってないよね?

 まあ、こっちも、蓮くんが幼少期、おもらししちゃったことを知ってるけどね。

 武士の情けで、極秘にしてあるよ。


「――おれも、もっと一千花センパイのこと、知りたいよ」


 ふいに、咲也くんが言った。

 その切実な想いのこもった言葉に、ドキッとして、咲也くんの顔を見あげる。

 咲也くんは、ハナミズキのほうを見つめたままで。

 りっぱな樹木に、白い花と、赤い花を咲かせていて、とってもきれい。

 だけど。

 咲也くんは、花を見ているというより、ちがうものを見つめている気がした。

 それはきっと、わたしと咲也くんの宿命――。

「おれ、御堂センパイに勝てるのかな……」
「え……?」

 ひとりごとみたいに、咲也くんの口からこぼれおちた言葉。

「御堂センパイは――」

 言いかけて、咲也くんは、ハッと我に返ったように、

「いや……ほら、門倉部長がさ、おれのこと、スズランに(たと)えたでしょ? 御堂センパイはガーベラだぜ? そっちのほうがいいよな」

 って、苦笑いした。