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 売店で買ったものを、飲食スペースの丸テーブルにならべた。

 焼きそば、たこ焼き、フランクフルト――ぜんぶ二人前。

「ホントにいいの? わたしも出すよ?」

 財布を出そうとしたら、すぐ咲也くんに止められた。

「おれが誘ったんだから、これくらいさせてよ」
「あ、ありがと……」

 いただきますして、わたしたちは焼きそばから食べはじめた。

 食欲を解放して、夢中で食べる! 食べる! 食べる!

「いやぁ、一千花センパイ、食いっぷりイイね。見てて気持ちよかったよ」

 あっという間に、ぜんぶ食べきってしまった。

「だって、商店街で作業したんだもん」

 空腹が満たされ、おなかをさするわたしに、咲也くんがほほ笑みかけてきて、

「よく食べる女の子、好きだよ」

 って、やさしく言ってくれた。

 ドキッ。

 まっすぐな瞳に見つめられ、思わず目をそらす。

「咲也くんもよく食べたじゃない?」
「まあ、育ちざかりだし」
「さっき、おなかいっぱいって言ってなかった?」
「えっ、そうだっけ?」

 とぼけて頭をかいた咲也くんは、

「デザートにソフトクリーム食べたいな。一千花センパイも食べるよね?」

 って立ちあがった。

「う、うん……」

 結局また、咲也くんにおごってもらった。