その日、開花(かいか)町は激しい雨が降りつづいていた。

 空は、黒いペンキでぬりつぶしたように真っ暗で。

 まだ昼すぎだというのに、あたり一面、闇に支配されてしまったかのよう。

 そんななか、雷鳴とともに闇を切りさく稲妻だけが、ふたつの人影を照らしだした。

 空中に浮かび、にらみあっているふたり。

 ひとりは――鉄の仮面をつけて、真っ黒ないかめしい服に身をつつみ、ロングブーツをはいた小さな男の子。肩につけたマントが風になびいている。

 対する、もうひとり――色とりどりの花をあしらった華やかなワンピースに身をつつみ、虹色のステッキを手にした女の子。ピンク色の長い髪が、闇のなかでも目にあざやかだ。

「とうとう決着をつける時が来たようだな、魔法少女アイカ!」

 声を張りあげる男の子に、アイカと呼ばれた女の子がうなずいてみせる。

「そのようね、魔神リュウト!」

 リュウトと呼ばれた男の子は、鉄仮面からわずかにのぞいている口元を不敵にゆがめて、

「くらえ! 黒き龍の一撃を! ブラックドラゴン・アルティメットバースト!」

 とさけび、両手のひらから、まがまがしい色のエネルギー波を発射した。

 この世のすべてを飲みこまんとする龍のように、すさまじい勢いでアイカに向かっていく。

 それに対抗して、アイカもステッキをかまえてさけんだ。

「フルブルーム・ファイナルストーム!」

 対照的に、まばゆい光の渦がはなたれた。