☆☆☆

梓は本当に俺に会いたがっているんだろうか。


海斗と会ったからといって病気がよくなるわけじゃない。


もしかしたら、入院したときよりも弱っているかも知れない。


もう最後になってしまうかもしれないから、会いたいと願っているだけなのかもしれない。


真相はわからないが、海斗は自分にできることはもうなにも無いような気がして仕方がなかった。


梓の予知夢を頼りに未来を変えてきたけれど、それで変わったものなんて本当にあるんだろうか?


あるとすればそれはなに?


梓の命ではないことだけは確かだった。


「あなたは沢山の生徒を救った。事故だって防いだ」


きっと、事情をしっている人ならそう言ってくれるだろう。


けれど、それがどうしたというのだ。


なにをどう変化させたって、一番大切な人を守ることはできていないじゃないか。