好きだと気が付いたくせに、それでもまだ梓から逃げていた。


辛いから、苦しいからと言い訳をして合わない理由を探していた。


途端に目の奥がジンジンと熱くなってきて、海斗は教室を飛び出した。


トイレに駆け込んで個室に入り、鍵をかける。


健は追いかけてこなかった。


海斗は立ったまま両手を口に押し当てて、声を殺して泣いたのだった。