鈴のような声色は相変わらずでも、その声量は随分と小さい。


近くにいないと聞き取れないくらいだ。


「女神様との約束はどうしたんだよ」


海斗はベッドの横に立ち、梓を見下ろすか形になってそう言った。


梓は少し視線を泳がせて「約束、したよ?」と首をかしげてみせる。


「それならどうして……」


そこまで言って右手で口を塞ぐ。


どうしてこんなに弱ってるんだよと聞きたかったけれど、胸に熱いものがこみ上げてきて言葉が途切れてしまった。


梓は微笑んで「約束はした。でも、いつまで生き続けられるのかは聞いてない」


じゃあ、もう梓の命の期限はギリギリのところまで来ているんだろうか?


せっかくこうして仲良くなれたのに、もうお別れが近いんだろうか。


そんなの……。


「そんなのわからないだろ」


後ろから健が呟いた。


その声は少し怒っているようで、海斗は振り向く。