男の車が停車したのはこのへんでは一番大きな相好病院の駐車場だった。


いつもの屋敷じゃないことに困惑して、緊張が走る。


男と共に院内へ足を踏み入れると、消毒液などの病院どくとくの香りが鼻腔をくすぐって海斗は思わず顔をしかめた。


あまり慣れていない匂いだ。


エレベーターで5階まで上がると、そこは内科の入院病棟になっていた。


梓の部屋はナースステーションから近い一人部屋だった。


男が軽くノックをしてドアを開ける。


中から聞こえてきた返事は弱々しくて、海斗たちの耳には届かないくらいのものだった。


開け放たれたドアの向こう側はとても白くて眩しかった。


白い壁に白い床。


天井まで真っ白で、窓から差し込む太陽の光を反射している。