暗黒ギフト2

☆☆☆

当時のことを話しながら梓は小さく笑った。


今思い出しても不思議な話だ。


こんな話誰も信じてくれるわけがない。


「たぶん、夢を見ただけなんだけどね」


梓はそう言って話を締めくくった。


梓が予知夢を見るようになったのはその後からだった。


「信じるよ」


その言葉に視線を向けると、ベッドの横に立つ海斗が真剣な表情で頷いた。


その様子に少し戸惑ったけれど、嬉しくなって微笑む。


自分を嘘つき呼ばわりすることなく素直に受け入れてくれたのは初めての人かもしれない。


信用している執事でさえ、最初のころは予知夢のことを信じてくれていなかった。


それはまぁ仕方のないことだと思っていたのだ。


「俺も信じる。そうやって梓ちゃんは戻ってきたんだな」


海斗の後方にいる健が手を上げてそう言った。


「うん。そうみたい」


梓はくすぐったくなって自分の頬が赤くなるのを感じた。