暗黒ギフト2

聞くだけで女性についていきそうになってしまう。


きっと、そっちを選んだ方が楽になれるということもわかっていた。


けれど梓はっぱり女性の手を取ることができなかった。


『私は自分が苦しくても構いません。両親を悲しませたくないんです』


梓の言葉に女性はまた驚いた様子で瞬きを繰り返す。


『そんなことは気にしないで。一緒に行きましょう』


『そんなことじゃないの!!』


梓は思わず怒鳴っていた。


女性についてけば自分の苦痛はなくなるのだろう。


けれど、残された者たちはどうなるんだろう?


ずっとずっと、悲しみにくれて生きていくことになるんじゃないんだろうか。


だって、今だって両親はあんなに泣いている。


自分のせいで苦しんでいるじゃないか。


『私はまだついて行けません』