暗黒ギフト2

病院はもちろん、行き交う人々も車も緑も池もない。


ただ、真っ白でなんの音も聞こえてこない世界だ。


梓は途端に寒気を感じて身震いをした。


しかしこの空間は寒くも熱くもない、ただ恐怖心から震えたのだ。


両手で自分の体を抱きしめるようにして周囲を見回す梓。


まさか自分はもう死んでしまったんだろうか?


こんなにあっけなく、なにも成し遂げられないまま、何者にもなれないまま。


病室で泣きじゃくっていた両親の姿を思い出して胸が痛くなる。


ごめんねお父さんお母さん。


こんなに弱く生まれてしまってごめんなさい。


不甲斐なくて下唇を噛みしめる。


だけど両親はきっと自分たちのことを責めるだろう。


丈夫な体に生んであげられなくてごめんね。


助けてやれなくてごめんな。


そんな風に謝罪する姿が安易に浮かんできて、更に悔しくなった。


せめてそんなことないよ。


お父さんとお母さんのせいじゃない。


と言ってあげたい。


でももう無理なんだ。